大阪市南部、若い女性たちの惨殺事件が続発する。 被害者たちは下腹部を切り裂かれ、その生殖器が持ち去られていた。 犯人は廃墟ビルの屋上で暮らす孤独な青年、誠(佐野和宏)。
彼は「菜穂子」と名づけられたマネキンを愛し「愛の結晶」が誕生することを夢想していた。 次々に若い女性を惨殺し、奪った生殖器を菜穂子に埋め込む。
やがて彼女に不思議な生命が宿りはじめ、様々な人間が、 誠と菜穂子が暮らす「魔境」=廃墟ビルへと引き込まれていく。
現実の街並みは、いつしか時間感覚を失い、傷痍軍人や浮浪者など、 敗戦直後を思わせるグロテスクなキャラクターが彷徨しはじめる。
純粋に二人だけの世界で生きていた幼く美しい一組の兄と妹(隈井士門、村田友紀子)。 遊びといえばケンパしかしらない。かれらもまた、菜穂子がいる廃墟へと導かれてゆく。
菜穂子と産まれてくる子供のために、誠は、小人症の兄妹(日野利彦、仲井まみ子) ふたりきりで営まれる下水道清掃会社で働きはじめる。
福田の妹・夏子は誠に心ひかれてデートに誘うが、路上で暴漢に襲われ、無残にもレイプされてしまう。< 深い絶望は、自分の醜い火傷姿が男たちに愛されたことで癒されるが、 誠に、愛する「女」がいることを告白され、孤独と嫉妬に打ちひしがれる。 街をさまよい、やがで廃墟ビルへ…。
廃墟ビルの屋上。 幼い妹は菜穂子に「母」の面影を見る。 兄は、その姿に激しく「性」を感じる。
そのとき、廃墟ビルに引き込まれた人々に残酷な運命が訪れる……。

85年のトリノ国際映画祭に出品を予定されながら、イタリア税関でストップ。 86年には香港での日本映画祭に招待されながらも、同じく税関ストップ。 試写を担当した映写技師が嘔吐するという「事件」まで引き起こした。 |